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精衛

 景色が、真っ暗闇を上下に割いた。瞼の中に種が入っていたとするのなら、それは露を払って、芽吹いたのだった。
 渓流、杉の立ち並ぶ場所で、古明地こいしは自分の顔を撫でた。川面に顔を映して、洗う。小鳥が、その音に今更のように驚いて、パタパタと空に昇っていた。
 ハンカチで顔を拭って、今度はそのハンカチを濯ぐ。
 水を切れるだけ切ってから適当な岩の上に広げ、小石を重石にして乾かす。妖力によって、汚れから守られているとはいえ、洗えるものは洗いたいし、干せるものは干したい。そうした機微こそが当人を守っているのは、人間にも言えた。
 しかし、こいしは妖怪の中でも、特殊な部類だろう。唯一、姉とは同じでいたのに、その姉からも、ずれてしまった。
 泳ぐ鳥のようだ。
 こいしは、自分のことをそんな風に思う。 
 姉と一緒に羽を動かしていたはずなのに、空の青と、水の青とに、分かれてしまった。
 姉は地底にいるのに、姉を想えば、空を見上げる。
 今日もそうしてみてから、帽子を木の下に置いたままにしておいたのを、思い出した。
「忘れ物も、無意識の裡なのでしょうかね」
 こいしには一瞬、帽子が問いかけたように思えたが、声の後に、木陰から人影が現れた。
「ああ、閻魔様。――おはよう」
「おはようございます、こいしさん」
 まだ早朝だのに、四季映姫は、制服の襟を立たせ、大きな帽子を被っている。浮世の時間の概念がどこまで通じるものかも、怪しいのだけれど。
 映姫はこいしに帽子を手渡すと、隣に立ち、川面を眺め始めた。
「何の用事?」
 閻魔が暇なわけは無い。結果として暇になることはあっても、自分から暇を弄ぶようなことは無い。暇を利用して、説教を垂れる。
 こいしは、映姫と面識がある。自身の経験上、妖怪よりも神や仏の類の方が自分とは相性は良い、と、こいしは思っている。それは、彼らが本質的に、人妖の無意識に滑り込む存在だからかもしれない。
 こいしは無意識を操れるが、そのものを取り払ったりは出来ない。それが出来たなら、さぞ恐れられていたろうが、彼女は何せ、泳ぐ鳥だった。猛禽でも鳳凰でもない。
 映姫は川面に視線を浮かべたままで、答えた。
「しばらく、地底に戻っていてもらいたいのです」
「何で?」
「あなたは少し、無意識を操り過ぎた。人を恐れさせるのは妖怪の本分ですし、あまり五月蠅いことは言っても仕方ないのですが、近頃は鵺なんてものまで地上に出て来ましてね。あなたと鵺の性質が合わさると、恐れが倍増しかねないのですよ」
「それで、しばらく引っ込んでろ、って?」
「はっきり言えばそうですね。鵺の方は、どうも同業者っぽい者が唾を付けていまして、下手に関われないのです。あくまでも『同業者っぽい』ですよ。全くの同業ではないです」
「白蓮とか言う尼さんのことでしょ。私も知ってるよ。あの人、影がぐらぐら煮え立ってて、面白いんだ」
「そう思うなら、尚更ですね」
 最初から、お願いではないのだろう。与し易い方に、先に交渉に来た。そう取った方が、間違いが無さそうだった。
 自分が格下に思われているようで、こいしは少し癪に障った。要は、人間ではなく妖怪だけを狙えば……何なら鵺や白蓮を相手に遊べば、閻魔も納得できるのではないか。
「――最後に地底に戻ったのは、いつですか?」
 こいしは自分の帽子のつばを指で撫でた。唐突に問われて、窮したためでもあったが、他にも理由があった。
「三ヶ月ぐらい前……かな」
「嘘はおよしなさい」
「……半年」
 半年もの間、こいしは地上に出ずっぱりだった。
 地下のエネルギー革命の恩恵で、地上でも冬の間、寒さで凍えなくても済むことが多くなった。無意識を操れば、人間に恐れられることなく里で暖を取れたし、温泉に浸かることもできた。
 しかし、操られた側の違和感だけは残り、積もり積もって、こうして映姫が足を運ぶことになってしまったらしい。映姫のお節介な性格が多分に影響しているとはいえ、だ。
「でも、春が来たら、帰ろうと思ってたんだ。ううん、いつだって、気付いたら帰ってたんだよ。それだのに、今は……」
 こいしの憤る様を見て、映姫が初めて視線を合わせた。
「お姉さんの、さとりさんの無意識に呼ばれなくなった、ということでしょうか?」
「わかんない、わかんないよ。そうだったら、怖いけど……怖い? ああ、これが怖いっていうの? 朝起きると目に涙が溜まっているようになったのも?」
「ふむ――」
 映姫は沈思して、自分の口元に手を当てる。
「とりあえず、落ち着きなさい。半年も家に帰らなかったら、心細くなるのは当たり前なんですから……そうですね、ハンカチでも洗ってもらうついでに、気軽に帰ってみると良いでしょう」
「ハンカチ、もう洗っちゃったよ」
 こいしが俯く。そんな些細なことでも落ち込むことに、映姫も母性のようなものをくすぐられたのかもしれない。大事な笏を置くと、おもむろにこいしの頬に片手を添えた。
「ほら、ちょっと上を向いてください」
 もう片方の手で自分のハンカチを取り出し、こいしの顔を拭ってやる。こいしのハンカチよりも柔らかいそれは、彼女の顔を撫でるだけ撫でて、彼女の手に握らされた。
「これで理由が出来たでしょう? たまには、帰ろうと思って、帰ってごらんなさい」
「……はい」
「よろしい。いつもそれぐらい素直なら良いのですがね」
 最後の最後で説教めいたことを言って、映姫は去った。岩の上に広げてあったハンカチも、どこかに行ってしまっていた。


 地底の春は長い。地上よりも陽気と陰気の入れ替わりがゆっくりとしているから、というのは好事家の弁だが、「お空が季節を忘れるから」と考えている者も結構いる。それだけ、お空のエネルギーが及ぼす影響は絶大なのだった。
 地上との友好の証とかいう触れ込みで桜が植えられた公園は、花見客で賑わっていた。
 実際は、地上まで花見をしに来ないように、という意味合いが強い。もっとも、それを指摘する者も、拘泥したりはしない。
 そこに桜があるのだ。花見をしない理由はどこにもない。
 そういった漠然とした歓楽に、こいしは引き寄せられた。気付くと、公園の外れの蕎麦屋で蕎麦を啜りつつ、地下水が流れる川の向こう、桜の立ち並ぶ様を、眺めていた。
 地下水で打たれた蕎麦は、噛むと、プチンと切れるのが魅力である。
 豪快に啜って、噛み切り、存分に歯ごたえを楽しんでいるのは、さとりのペットである、お燐だった。
「うーん、泥を腹に詰めたこの感じが、地底の蕎麦ですねえ」
 隣に座っていたこいしは、適当に首肯し、帽子を被り直した。お互い、移動の多い性分だから、こうしてよくかち合う。
「お姉ちゃんはどうしてる?」
「この時期ですからねえ。例年通り、ふらふら出歩いてるみたいですよ」
 ある程度以上の力を付けないと、こいしのペット達も、ケダモノと変わらない。春は、発情期に入ってしまう。襲われることは無いのだが、気が立っているのも確かである。一緒にいても、落ち着かない。
「みたいですよ、ってことは、あなたも出歩いてばかりってことだよね」
「あははっ、こいし様にそれを注意されるとは思いませんでしたよ」
 お燐に悪気は無い。笑うだけ笑って、卓に二人分の勘定を置いた。
 死体漁りをしているために、金には困らない。ただし、それが目的ではないから、必要以上には取らない。
 二人は、川沿いに歩きながら、話すことにした。お燐が照れ臭そうに尻尾を振って、今度は自分の疑問をこいしにぶつけた。
「前から聞こうと思っていたんですけど、さとり様とこいし様って、閻魔様とはどういう間柄なんですか?」
 こいしは、閻魔に言われて戻ってきた程度のことは、食事中に話してあった。隠すようなことは、何一つ無い。
「間柄って程のものは無いよ。私達が地底に来ないとならなくなったとき、地獄も移さないとならなくなったわけ。そのとき、あの人も色々と仕事が増えて、それを片付けるついでに、家とか世話してくれただけ」
「さとり様についてはそうなんでしょうけど、それだけじゃ、こいし様に声をかける理由がわからないですよね」
「お姉ちゃんより私の方が気安いんじゃないかなあ。――お姉ちゃんに聞けば? 一発でわかるよ」
「閻魔様の心中とか聞きたくないですよ……」
「我儘だなあ」
 そうは言ったものの、こいしも気にはなっているのである。良い機会だし、自分から姉に聞いてみるのも良いかもしれない。
 いずれにしろ、家には帰るのだし、――
「あっ、お姉ちゃん、今は家にいないんだっけ」
「探してきましょうか? 地上に出るなんてことは無いはずですから、すぐに見付かるはずですよ」
「うーん……お姉ちゃんの行く所なんてたかが知れてるから、自分で探すよ」
「はーい。じゃ、私はそろそろ行きますね」
 お燐がスカートを翻すと、その陰から猫車が現れる。彼女が桜の枝を掠めて飛んで行くのを見送って、こいしは辺りを見回した。
 いざ帰って来てみれば、不安なんて霧散してしまうものらしい。特に無意識を操るでもなく、姉はどこにいるだろうかと想像を働かせる、浮かれた自分がいる。
 肝心の姉の行き先だが、遊び歩くのが苦手な所為で、かなり限定されてくる。
 遊び歩かないからといって、迷惑にならないわけでもない。
 人に会わないよう移動しながら飲み続けた所為で、悪酔いし、路地でぶっ倒れている所を発見されたことがある。
 夕飯の買い物に行かせたペットが戻らないから、と、探しに出て、池のほとりで朝まで飲んでいたこともある。
 そういうことをしていても、覚り妖怪としての自分を貫いているから、それなりに恐れられているし、本人も楽しんでいるわけだ。
 川の上流、桜よりも杉が多い辺りに、さとりはいた。桜の蕩けた匂いより、緑のそれが、酒に合うのだろう。
 さとりは濁酒が得意で、気心の知れたペットだけを供に、楽しんでいた。
「あら、久しぶり」
「うん」
 さとりは詩集に筆を走らせていた。こいしが傍に座ると、目の真っ赤な黒毛の大型犬が、咥えた盃を渡してくれた。
 この犬もこいしぐらいの大きさがあるのだが、さとりが背もたれにしている青鹿毛の犬はもっと大きく、熊ぐらいもある。いつもおねむで、今日も体を丸めて、寝息を立てている。
 四つ足では他に、狸と木曽馬がいて、鳥類はもっと多い。ノドジロが草の上を跳ね回り、どこから来て住みついたものか、鶴や朱鷺が川端で羽を休めている。地底には燕も多くいる。
 全て挙げていてはきりがないが、さとりはこの全ての心を、いつでも汲んでいる。彼女自身が、この流れゆく川のようなものだとも言える。
 こいしは、そういう光景を傍から見なければならない。姉自身が、まるで自然の中に消えてしまったような錯覚を覚えるときもある。それでもやはり姉は姉で、横顔を覗くだけで、口元は緩んだ。
 犬に注いでもらった酒を傾けると、こいしの頬はすぐに赤くなった。
「こいしは、お酒に弱くなったのかしら?」
「かもしんない。ご相伴には与るけど」
「近頃は、どこにお邪魔しているの?」
「やっぱり、山の辺りが一番多いかな。吸血鬼の所とかは勝手がわからないし、それ以外だと、かつかつな所ばかりだしね。長居できないんだ」
「あなたも、人の生活のことは考えるのね」
「ぎすぎすしてる連中は、意識に余裕が無いからだよ」
「ああ、なるほどね……あら」
 さとりが急にくすくすと笑い出して、背もたれにしている青鹿毛の犬の腹を撫でる。
「この子は余裕がたっぷりのようね。いつも、楽しい夢を見せてくれるわ。今は鳥になって、大蛇の腹の中を突いて回っているわね」
「お姉ちゃんに見てもらいたいとか」
「それは夢のある話だわ」
 犬が起きない程度に撫でるだけ撫でて、さとりは盃に口を付け直す。一度飲み始めると、一杯、また一杯、盃を空けた。
 彼女は結構、酒好きだった。
「お酒、そんなに美味しい?」
 こいしが訊ねると、さとりは黙ってしまった。気分を害したわけではなく、どれが自分の思考なのか、頭の中で整理するためだった。
 彼女が黙りこんだのに合わせて、周囲の獣達の息遣いが、密やかなものになった。さとりの迷惑になることを嫌ってのことだろう。
 さとりは、余計な気兼ねをするなと手を振り、こいしに顔を向けた。
「酒で酔えるのは、妖怪と人の特権だわ。この子達と一緒なのは、とてもとても楽しいけれど、その中でこそ、私は私として、楽しんでいたいときがあるのかもしれないわ。お燐やお空とは、あまり飲まないもの」
「孤独なのが良いの?」
「そうじゃないのよ。ただ、自分の心が動く様を、自覚したいのだわね」
「今のお姉ちゃんは、どんなお姉ちゃんなの?」
「『お姉ちゃん』かしらね」
「ふうん……」
 誤魔化されたのか、本音なのか。こいしは盃を空にして、姉と同じように、犬にもたれかかった。
 しばらく、姉との時間を共有する。
 眠気は無い。川と緑の匂いがそうさせるのか、頭の中が透き通っている。
 姉は黙々と筆を走らせていて、これまた、冴えているらしい。
「こいし」
 急に呼ばれて、こいしは膝上に置いていた帽子を落としてしまう。
「なあに?」
「珍しく、あなたの帰ってきた理由がわかるわ」
「ふうん」
 こちらが姉の行動をある程度わかるように、姉もまた妹のことを熟知している。
 地底も過ごし易いが、地上はもっと過ごし易い時期である。そういうときに戻ってきたこいしの裏に、さとりは閻魔の影を見て取っていた。
 その上で、変わったことを訊ねた。
「こいしは、自分と私とでどちらが、業が深いと思う?」
「お姉ちゃん」
「少しは迷いなさいよ。でも、正解だわ」
 妖怪の本性を隠すことも無く、自分の好きなように暮らしている。たまたま地底という安住の地に居着いているが、これが地上だったなら、人にはさぞ迷惑がられたことだろう。
 しかし、それよりも、
「あのね、こいし。私は近頃、あなたのことが、あまり、心配でないのよ」
「……」
 わかっていたことだが、こうして口にされると、こいしは惨めな気がした。
 そんな妹の姿も、見てみたかったのか。さとりは、許しを与えるように、頬を綻ばせた。
「こいし……ねえ、こいし……お姉ちゃんはここから出られないわ。この子達を裏切りたいとは思わないし、私自身、今を楽しんでいるのだもの」
「うん……わかるよ」
「あなたがこれから、覚り妖怪の本性を取り戻すか、今よりもっと別の存在になってしまうか、私にはわからないわ。でも、私が姉ということは変わらないのよ。どんなに間が開いても良いわ。どんな理由でも良い。理由が無くても良い。来られるときに、来たときに、顔を見せてちょうだい。私はそれで、十分だから」
 一羽の鶴が飛び立つと、有象無象の気配が散って行った。残ったのは、犬が二頭と、数羽の小鳥。
 今だけはさとりも、彼らの好意を咎めはしなかった。
 さとりが振り向いたとき、こいしは既に、旅立っていた。ハンカチを一枚、残して。
 瞼を閉じて、さとりは酒を飲んだ。目が熱いのは、酒の所為だろうか。


 こいしが去って、じきのこと。寝ていた方の犬が目を覚ました。
 なんだか地蔵でも乗っかったみたいに、体が重い。
 クウン、と、巨体に似合わない声を出した。さとりはその背中をぽんぽんと撫でてやってから、犬の上に座っている客人に、顔を向け直した。
「珍しいですね、私の所に、仕事以外の用件で来られるなんて」
「あなたがこいしさんを追い返してしまった所為で、私の目算が狂ってしまいましたからね。お礼までに」
 映姫は、さとりを見下ろしながら、口を薄らと笑わせた。
「あなたは少し、妹に優し過ぎますね。もっと自分に優しくしてはどうですか」
「これは仕方ないんです。閻魔に気に入られた妹が、不憫ですから」
「……いけませんね、閻魔の心を覗くのは」
「妖怪ですから」
 泳ぐ鳥のようだとこいしは自身を評したが、映姫にしてみれば、歩き回る地蔵のようだった。
「こいしさんの、無意識を操る力は、大したものです。私心を加えて説教をすることは控えている私ですが、気になっているのは認めざるをえません。閉じた瞳にしか見えないものもあるのでしょう」
「私や、閻魔様の鏡とは、また別物ですからね。ただ――」
「ええ、強制するようなことはしませんよ。約束しましょう」
 犬は、今にも走り出したい恐怖を感じていたが、重くて体が動かない。これが終わったら、さとり様に一杯、ふもふもしてもらおう。
 現実には、そのさとり様こそが恐ろしい殺気を放っているのだが、犬にしてみると腹の辺りにいて、よくわからなかった。
「ああ、そうだ。これを渡しておかないと」
 映姫が取り出したのは、こいしのハンカチだった。手渡されたさとりは、それをしげしげと眺める。それは糊がよくきいていて、新品のようだった。
「これは……」
 既に、映姫は失せていた。
「こいしに自分から渡せば良いのに。何だか、あの方まで妹みたいな気がしてきたわ。――えいえい」
「ワフッ!」
 腹の辺りをこれでもかとふもふもされて、犬はひっくり返った。


「よもや、二食連続でこいし様と相席になるとはねえ」
 地上でも蕎麦を啜っていたお燐が、こいしに言う。
 周辺では天狗蕎麦と呼ばれる、妖怪の山の湧水で作った蕎麦である。育てるのから打つのまで、同じ水なものだから、非常にまろやかな出来となっている。
 この店自体、川沿いで営業していて、店主は無口な天狗である。客層はやはり天狗が多いのだが、河童もかなり多い。
 こいしは七味を足しつつ、答えた。
「細く長くがモットーだからね、私は」
「へえ、そうだったんですか。じゃあ、地下に引っ込まなくても、騒ぎなんて起きませんね」
 つい数時間前からのモットーであることは、お燐には教えない。
「お燐は少し、食べ過ぎじゃない?」
「あっはっは! そうかもしれませんね」
 彼女を残して、こいしは先に店を出た。
 既に日が落ちようとしているが、気がかりが無くなったことで、胸は熱かった。
「そうだ! どこかでお酒を飲もう」
 こいしが以前よりも酒好きになったのは、確かなことのようだった。